雨天結構 ~雨玉夕間の日記~

気ままに日常の出来事、感じたことを書いていきます。詩も載せます。

『バーナード嬢曰く。』

最近中古漫画屋で買った漫画が、『バーナード嬢曰く。』という漫画だ。

施川ユウキ作。なぜこの漫画を知ったのか語ると長くなるので割愛する。

 

主人公の町田さわ子は、いつも図書室にいるが実は本を読んでいるふりをしているただの読書家気取り。そんな読書家気取りと本好きの遠藤や長谷川スミカ、ガチSFファンの神林しおりといった読書家メンバーの間で繰り広げられる日常が描かれる。「読書」がテーマのギャグマンガだ。全3巻。アニメ化もしている。

 

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バーナード嬢曰く。①』5ページより

数々の名作、SF小説がネタにされている話がほとんど。読書家やSF好きはもちろん、「読書家気取り」の町田さわ子のボケで僕のようなそれほど本を読まない人でもそこそこ楽しめる。

 

……気がしていた。

 

読書好きの友人たちに囲まれているからには、町田さわ子は彼らに本を勧められる。こうして自然と「読書家気取り」から脱却していくのである。(そもそもそういう漫画だと思うが)

1巻ではまだまだグータラ読書家だった町田さわ子は、2巻からは難なく読書をする読書家女子へと成長していく。

 

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バーナード嬢曰く。②』52ページより

先述の通り、僕はそれほど本を読まない。気まぐれで読んで月2のペースだ。だから、1巻での町田さわ子を「かわいらしいな」と眺めることができた。しかし2巻からはどうだろう。町田さわ子はみるみる本を読むようになり、明らかに自分以上に本を読むまでになっている。漫画のキャラではあるが、自分の中で何か焦りのようなものが疼き始めた。

 

そもそもこの漫画は「読書あるある」がメインのネタであり、いわば「読書家向け」の漫画なのだ。つまりあまり本を読まない自分向けではないことは確かであろう。では、なぜ自分はこの漫画を中古ではあるが購入するに至ったのだろうか。

 

それは自分が「読書家」に近づきたかったからだ。自分は今どちらかといえば町田さわ子に近い状態にあるといえる。だから町田さわ子のように、この漫画のキャラクターたちを通して、読書をするきっかけを得たかったのだ。最初この漫画を手に取ったときは「自分でも面白そう」だったけれど、変わっていく町田さわ子を見ていたら「読書のきっかけとしたい」と思うようになっていた。

遠藤や長谷川、神林たちはポンコツ町田さわ子にツッコミを入れるだけでなく、本の魅力も語ってくれる。そこで自分の読んでみたい本を見つけ、図書館で探して読んでみる、というのが僕のやりたいことなわけだ。

 

 

というわけで、先日早速図書館へと足を運んできた。手に取ったのは水嶋ヒロ(齋藤智裕)作の『KAGEROU』。かつて騒動に発展し、ある意味話題作となった小説だ。

 

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バーナード嬢曰く。②』90ページ

KAGEROU』を読むことに決めたのは画像90ページの神林のセリフ。詩を書く身からしてみれば、「書き上げた時の万能感と読み返した時の無力感」はすごくわかる。この漫画の下りからも『KAGEROU』がものすごく面白い小説ではないことはわかってしまうが、だからこそ読んでみたくなった。

KAGEROU』は「頑張って作った感」のある比喩や言い回しがところどころにあり、文章はどこか素人っぽさが漂っていた。それでもそんな隠しきれない不器用さの中で、著者齋藤智裕は、何とかしてでもこの物語を通して「伝えたい思い、メッセージ」を伝えようとしていた。それが伝わってきた気がした。 

KAGEROU』は思いのほか面白かった。そして『バーナード嬢曰く。』で語られている『KAGEROU』の下りをもう一度読み返してみたが、『KAGEROU』について熱く語る神林の気持ちがよくわかった。

 

こんな感じで、これから『バーナード嬢曰く。』に登場する本を読んで、またこの漫画を読み返しては登場人物に共感する「読書家気取り」な行動をしていきたいと思う。たぶんそれは読書しないよりマシな気がするから。

ただ、なぜここまで「読書」にこだわる明確な理由は自分でもよくわからない。大人たちが「本を読め読め」いうからきっと読んどいたほうがいいから、とか詩を書くのによさそうだからとか、そんな理由な気がする。

とりあえず、読書家気取りを抜け出した町田さわ子にはなりたい。以上、「雨玉夕間曰く。」でした。